第196章 神野綺生は褒めてほしがる

鳴海絃星だと気づいた瞬間、神野綺羽の顔から驚愕が消え失せ、代わりに極限まで血の気が引いた。青ざめたかと思えば、次の瞬間には蒼白に染まり、指先はテーブルクロスを握り潰すほど強く掴みしめる。白く浮いた関節。瞳の奥では、信じられないという嫉妬と憎悪がどろりと渦巻いていた。

——ありえない。

兄が心から望み、人生を共にすると決めた婚約者が、よりにもよって鳴海絃星だなんて。

神野綺羽の狼狽とみっともなさを眺めながら、鳴海絃星の胸の奥を、淡い快感がすっと撫でていく。眉も目元も落ち着いたまま、彼女はゆっくり口を開いた。

「意外?」

「私を殺そうとまでしたのに、こんな形で目の前に現れるなんて、思っ...

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