第21章 彼女が彼にキスした?

「……お爺さま……」

八幡誠言が口を開きかけた瞬間、医師が遮った。

「八幡社長、これ以上ご老体に刺激を与えるのは危険です」

誠言の喉仏がごくりと上下する。結局、悔しさを噛み殺すように言った。

「……分かった」

その言葉が落ちた途端、背後に立っていた若林詩羽がはっと顔を上げた。

唇がかすかに動く。言いたいことはあるのに、喉に何かが詰まったみたいで、音にならない。

「パパ! どうして詩羽ママを追い出すの!」

若林詩羽が泣きそうな顔をしたのを見て、八幡一辰は彼女の腕から勢いよく抜け出し、誠言の脚にしがみついた。

「詩羽ママ、行かせない! 残してよ!」

「離せ!」

誠言が低く叱...

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