第22章 鳴海家のご令嬢はどう?

鳴海絃星はその場に立ち尽くした。思いがけない接触が、唇のあいだを細い電流みたいに走り抜ける。

時間だけが、やけに引き伸ばされた気がした。

先に我に返ったのは八幡誠言だった。

彼は彼女の手首を掴んでいた手をばっと放し、熱いものに触れたみたいに半歩退く。

次の瞬間、顔いっぱいに濃い嫌悪を貼りつけて吐き捨てた。

「鳴海絃星、恥ってもんがないのか」

鳴海絃星は彼を見上げ、ふっと笑う。

「私がわざとだと思ってるの?」

「他に何がある」

呆れた、と言わんばかりに鳴海絃星は息を吐いた。

「ねえ、念のため聞くけど。あなたがアレルギー起こした理由、忘れた?」

八幡誠言の表情が、ぴしりと固...

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