第25章 彼女は彼に対してかなり違う

鳴海絃星の身体が地面に叩きつけられそうになった、その瞬間――

疾風のように駆け込んできた影が、彼女をしっかりと抱きとめた。

「絃星、大丈夫か」

白鳥縁一の声には、隠しきれない動揺が滲んでいた。恐怖のせいか、彼女を抱く腕までかすかに震えている。

鳴海絃星はまだ魂が戻りきらない顔で、白鳥縁一の袖をぎゅっと掴んだ。指先が白くなるほど強く。

しばらくして、ようやく声が出る。

「……大丈夫」

白鳥縁一は大きく息を吐いたが、瞳にはなお痛ましさと、遅れてきた恐怖が残っていた。彼は手を伸ばし、額の生え際に絡んだ草屑をそっと払う。その仕草は、壊れものに触れるみたいに優しい。

少し離れた場所で、...

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