第27章 引き留め

八幡一辰の小さな手が、ぎゅっと固く握りしめられていた。熱を帯びた掌が、鳴海絃星のひんやりした指先に張りつき、その温度がまっすぐ胸の奥まで焼きついてくる。

鳴海絃星は俯き、熱で赤く染まった幼い頬を見つめた。胸のどこか、柔らかな一角がそっと揺れる。

けれど、その揺らぎは一秒だけだった。

次の瞬間、彼女の頭は冷えた。

――この子が呼んでいるのは、私じゃない。

手を抜こうとする。

だが八幡一辰は、さらに強く指を絡めてきた。小さな眉間に皺を寄せ、何かを呟いている。ろれつの回らない声は、悪い夢の底から漏れてくるみたいだった。

「一辰、大丈夫。怖くない、ママがいる……」

若林詩羽も当然、自...

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