第34章 そんなに都合よくいく偶然があるものか

八幡誠言は窓の外へちらりと目をやると、そのまま車を発進させた。

その車が完全に見えなくなるまで見送って――鳴海絃星の胸には、何かで思いきり穿たれたみたいな穴があいた。

そこから風が吹き込み、骨まで冷えそうで、身体がぶるぶる震える。

坂東浩は腕の中で微動だにしない鳴海絃星を見下ろし、ふっと鼻で笑った。

「へえ、哀れだな。あの男のどこにそこまでの魅力がある? お前も若林詩羽も、そんなに捧げる価値があるのかよ」

鳴海絃星は視線を引き戻し、薄く笑う。

「あなたは? 若林詩羽のどこに魅力があるの。八幡誠言に逆らってまで。……いつか全部バレて、野垂れ死にするのが怖くない?」

男の笑みが、一...

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