第39章 どんな補償でもいいと言うのか

八幡誠言はその場に立ち尽くし、鳴海絃星の――凪いだまま、どこか冷ややかな瞳を見つめた。

胸の奥に、説明のつかない感情がふっと湧く。

しばらくして、ようやく口を開く。

「……最初から、そうしてりゃよかったんだ」

まるで、こうなるのが当然だと言わんばかりの言い草だった。

鳴海絃星は何も返さない。ただ彼を見て、口の端だけをわずかに持ち上げる。

「八幡社長、ほかにご用は?」

他人に向けるみたいに平板な声。

八幡誠言は眉を寄せた。

視線が勝手に下へ落ちる。彼女の身体の脇に垂れた手――白い包帯が厚く巻かれ、その内側に淡い薬の染みがにじんでいた。

病室で、彼女の手首を掴んだとき。痛みに...

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