第56章 後悔したのか?

突然ひざまずいてプロポーズしてきた白鳥縁一を見つめながら、鳴海絃星の頭の中は真っ白になった。

口を開いた。何か言おうとした。けれど――声が出ない。

二人のあいだを夜風がすり抜け、ひやりとした冷気だけが頬を撫でた。

白鳥縁一はそのまま片膝をつき、指輪を捧げるように差し出したまま、熱を帯びた視線で彼女を見上げ、返事を待っている。

「縁一さん、私……」

どれほどの時間が過ぎたのか。

絃星はふらりと一歩踏み出し、彼を立たせようと手を伸ばした。

――その瞬間。

背後から乱暴な力が襲いかかり、腕をがっちり掴まれる。

状況を飲み込むより早く、身体ごと引き寄せられ、次の刹那には、分厚く熱い...

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