第64章 鳴海絃星が怒る

鳴海絃星が法律事務所を出たときには、もう昼を回っていた。

相談の結果、弁護士はこう告げた。男が子どもを虐待している証拠さえ集められれば、訴えることができる、と。

そうなれば行政が強制的に子どもを男から引き離し、梓はいったん児童福祉施設で保護される。条件を満たせば、自分が養子縁組を申請できる。そうなれば梓を連れて、家に帰れるのだ。

道端に立ち、鳴海絃星の気分は悪くなかった。

タクシーを拾い、碧海の苑へ戻ろうとした、そのとき。

携帯が鳴った。

「絃星、久しぶりだね。目を覚ましたと聞いたよ。本当にうれしい」

鳴海絃星は声ですぐに分かった。国際馬術委員会の会長、マックだ。

彼女は小さ...

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