第66章 彼女にキスしたい

「ぼうっと見てるだけ? だったらこっち来て、薬くらい塗りなさい」

鳴海絃星は彼を横目で一瞥し、冷えた声で言い返す。

「家には使用人がいくらでもいるでしょう。なんで私があなたに使われなきゃいけないの」

「これはお前のために負った傷だ」

鳴海絃星は鼻で笑った。

「勝手にやったんでしょ。私、頼んでもいない」

八幡誠言は彼女の氷みたいな顔を見つめ、ふっと笑みを漏らす。

「お前を助けても、ろくなことがないな」

鳴海絃星は取り合わず、川野梓の手を引いて立ち去ろうとした。

「待て」

八幡誠言に呼び止められ、鳴海絃星は足を止める。振り返りはしない。

「今度は何」

「川野梓の学校は手配...

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