第69章 子どもが怪我をした

「八幡誠言、何してるの。離して」

鳴海絃星が腕を振りほどこうとしても、びくともしない。顔を上げて睨みつけると、彼は手を緩めるどころか、沈んだ目で彼女を見返した。

「どこ行く気だ」

「帰るに決まってるでしょ。先生に呼ばれてもないし。それに、八幡一辰は私のこと嫌ってる。私が行ったら、あの子だって気まずいだけじゃない。あなたは若林嬢と入ればいい」

鳴海絃星の言うことは、嘘じゃない。どうせ先生の中では、若林詩羽こそが八幡一辰の母親なのだ。

「お前は八幡一辰の実の母親だろ。学校で問題起こしたなら、面倒を見るべきじゃないのか」

その一言は、若林詩羽の胸に重たい石を落としたみたいだった。――あ...

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