第72章 鳴海絃星と川野梓の関係

八幡一辰は部屋へ戻るなり、腹立ちまぎれにベッドへどさりと倒れ込んだ。

頭の中を占めているのは、さっき鳴海絃星が川野梓に料理を取り分けてやったときの、あのやわらかな表情。

――あんなふうに、俺には笑ったことないくせに。

一辰はふん、と鼻を鳴らして寝返りを打ち、顔を枕に押しつけた。

何がそんなに偉いんだよ。

別に俺だって、可愛がってくれる人くらいいるし。

彼はスマホをつかみ、若林詩羽の番号へ発信する。

「もしもし、詩羽ママ……」

『一辰? どう? 傷、まだ痛む?』

「もう平気。ねえ詩羽ママ、明日の朝、迎えに来てくれない? 学校まで」

受話口の向こうで、詩羽が息を呑んだ気配がし...

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