第73章 彼女の思い通りにはさせない

鳴海絃星は学校を出ると、その足でオークション会場へ向かった。

千峰毅宏はすでに到着していて、彼女の姿を見つけると、すっと歩み寄ってくる。

彼の頬に走る傷を見て、鳴海絃星は申し訳なさそうに目を伏せた。

「千峰社長、昨日のこと……すみませんでした」

千峰毅宏はひらりと手を振り、相変わらずの軽薄な笑みを崩さない。

「気にすんな。いずれ、きっちり代償は払わせる」

それから、面白がるように眉を上げた。

「それにしても不思議だよな。世間じゃ『八幡誠言はお前を愛してない』って話だろ? 昨日のあいつ、どう見ても「愛してない男」の動きじゃなかったけど」

鳴海絃星は千峰毅宏を見上げる。

「千峰...

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