第78章 あなたが仕組んだことじゃないですか?

姿を見せる前から、鳴海絃星は張り詰めた空気を肌で感じ取っていた。

彼女は視線を落とし、自分の服の裾をぎゅっと掴んでいる川野梓を見やる。小さな指先は力みすぎて白くなり、華奢な身体がかすかに震えていた。

八幡母が荒れた口で来るのは目に見えている。梓の耳に、聞かせたくない言葉が飛ぶだろう。

絃星は膝を折り、目線を合わせて囁いた。

「梓、先に車で待ってて。おばさんが行くまでね」

川野梓はこくりと頷き、素直に外へ向かった。

八幡誠言は岩崎深へ目をやる。

「子どもを見てろ」

「承知しました、八幡社長」

梓の姿が消えてから、絃星はようやく立ち上がり、足音を殺してリビングの中央へ進んだ。

...

ログインして続きを読む