第79章 戦慄の瞬間

鳴海絃星は川野梓を連れて碧海の苑を出ると、そのままタクシーを拾い、市中心部のホテルへ向かった。

スイートを一室取り、梓の手を引いて部屋に入る。

学校を出てから今まで、梓は一言も口をきいていなかった。

絃星は彼女に何か抱えていると察し、隣に腰を下ろしてそっと声をかける。

「梓。今日のこと、気にしなくていい。ほら、元気出して?」

梓は顔を上げない。

長い沈黙のあと、蚊の鳴くような声が落ちた。

「おばさん……私って、ほんとに疫病神なのかな……」

絃星の胸が、どすんと沈む。

彼女は反射的に梓を抱き寄せ、腕の中へ閉じ込めた。

「どうして、そんなこと言うの?」

梓の目が赤く滲み、声...

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