第80章 来たのは彼だ

鳴海絃星は恐怖に引きつったまま顔を上げ――そこにいたのは、見慣れた影だった。

白鳥縁一。

彼は川野剛の前まで歩み寄ると、ためらいもなく拳を振り下ろした。顔面に、何発も、何発も。

一撃ごとに、相手を粉々に叩き潰すような殺気がこもっている。

川野剛が床に突っ伏し、ぴくりとも動かなくなって、ようやく鳴海絃星は我に返った。慌てて縁一の腕にしがみつく。

「縁一兄さん、もうやめて」

白鳥縁一はゆっくりと理性を取り戻し、床の男を見下ろした。次の瞬間、容赦なく一発、腹を蹴りつける。

地獄の底から吹き上げてきたみたいな冷たい声が、部屋に落ちた。

「よくも、彼女に手を出したな!」

騒ぎはすぐに...

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