第85章 若林詩羽と再会

鳴海絃星は川野梓を学校まで送り届けると、その足でひとりショッピングモールへ向かった。

来週月曜の夜にはヨットのオープニングセレモニーがある。場にふさわしい、きちんとしたドレスが必要だった。

何軒か見て回った末、彼女が足を止めたのは、オートクチュールのブランドショップ。

ほどなくして、一本のサテンロングドレスに目を奪われた。

月光みたいな白を基調に、裾には細かな銀糸のフリンジ刺繍。若いころ母がいちばん愛したドレスに、どこか似ている。

絃星は指先でそっと裾を撫でた。

「これ、試着させてください」

店員が返事をするより早く、横から伸びた手がドレスに触れた。

「それ、私がいただくわ」...

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