第87章 彼女はお前を要らなくなった

鳴海絃星は、若林詩羽の件で気分を乱されることはなかった。

トイレを出ると、そのままさっきの店へ引き返し、迷っていたワンピースを買う。ついでに国際馬術委員会の会長マックへの贈り物も選び、子ども服売り場まで足を伸ばした。

川野梓に似合いそうな小さなワンピースが何着も目に留まり、気づけば全部まとめてレジに持っていっていた。

まだ下校まで二時間以上ある。

絃星は近くのカフェに入り、窓際の席でコーヒーを頼んだ。

しばらくして、千峰毅宏から電話が入る。

「少し、話せるか?」

絃星はスプーンでカップの中をくるくるとかき混ぜながら答える。

「千峰若社長は、何のお話で?」

千峰毅宏は回りくど...

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