第88章 責任を取りたくないのか?

鳴海絃星は説明しようとした。けれど言葉は喉元で引っかかり、そのまま飲み込む。

「……あなたに関係ある? 八幡誠言。もう一回言っておくけど、私たち、もうすぐ離婚するの。これからはうちにしょっちゅう来ないで。分かった?」

「離婚」を口にするたび、八幡誠言の顔色が沈んでいく。

とりわけ「来ないで」と言われた瞬間、行き場のない怒りが胸の奥で煮え立った。

――俺が来るなってことは、白鳥縁一なら来ていいってことか。

八幡誠言は敵意を隠さず白鳥縁一を一瞥すると、赤く腫れたほうの手を持ち上げた。

「手が痛い」

鳴海絃星はその指先をちらりと見て、ぷいと顔を背ける。

「救急車、呼んであげる」

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