第91章 若林詩羽に説明すべきじゃないか

若林詩羽の涙が、音もなく頬を伝って落ちる。ぽとり、ぽとりと、途切れない。

彼女はわずかに顔を横へ向け、八幡誠言に赤く腫れた目元と、噛みしめて白くなった下唇が見える角度を作った。

――泣けば、きっとまた心配してくれる。

そう信じていたのに。

八幡誠言は相変わらず無表情だった。痛むほど冷たく、まるで何も感じていないみたいに。

見かねた浜田新が一歩前へ出て、若林詩羽のベッドの前に立つ。声には露骨な非難が滲んでいた。

「医者が言ってたろ。相当ショックを受けてるんだ。少しは静かにさせてやれないのか」

八幡誠言は浜田新を無視し、若林詩羽だけを見た。

「言わないのか」

その一言に、若林詩...

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