第94章 本物と偽物

鳴海絃星は、若林詩羽のあまりの傍若無人ぶりに、思わずくすりと笑った。

――きっと知らないのだ。八幡誠言が、あのネックレスを自分に贈ったことを。知っていたら、こんなふうに胸を張って見せびらかせるはずがない。

「若林嬢、物を言うなら証拠が必要よ。私のが偽物だって言うなら……あなたのだって偽物だって言えてしまうわ」

「鳴海絃星、ほんっとに恥知らずだな――」

いつの間にか若林詩羽の隣へ回っていた浜田新が、絃星を横目で見下ろす。声には露骨な侮蔑が滲んでいた。

「あのオークションの日、誠言が誰のためにそのネックレスを落としたか、知らない奴なんていない。偽物を首にぶら下げて得意げに歩くとか……見...

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