第96章 ネックレスは俺が彼女に贈ったものだ

八幡誠言は人波をかき分け、鳴海絃星の目の前で足を止めた。

彼女を見た、その一瞬。

無感情だった瞳の奥に、ふっと艶めくものが差す。

――正直、今日の鳴海絃星は、息を呑むほど綺麗だった。

鳴海絃星はその視線が鬱陶しくて、きっと睨み返す。

言葉はなくとも、顔にははっきり書いてある。

――何見てんの。これ以上見たら、目ん玉抉るわよ。

八幡誠言は口の端をわずかに上げ、ようやく視線を外した。

「どういうことだ」

鳴海絃星は肩を小さくすくめ、周囲の誰よりも先に淡々と言う。

「あなたの愛人が、私と同じネックレスをつけてたの。で、私が盗んだって言い張ってる」

数歩離れた場所に、若林詩羽が...

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