第13章 私はあなたを助けることができます

「望む誠意とやらを、言ってみろ」男は一歩、また一歩と距離を詰め、桜井昭子を腕の中に閉じ込めた。

彼女は歯を食いしばって身を引く。視線の先、ベッドの枕元に置かれた匕首がちらついた。あれは小林淮人のために用意したものだ。

「こ……このお酒を飲んで」桜井昭子は俯き、両手で必死に男の接近を阻もうとした。

その酒には、大量の睡眠薬を仕込んである。この男が飲んだ後で、小林淮人への対処を考えればいい。

赤い液体が、薄暗い照明の下でひときわ妖しく透き通っていた。

男がグラスを口元へ運ぶのを見て、桜井昭子の心臓は張り裂けんばかりに高鳴る。

だが、男の唇が液体に触れた瞬間、彼はフンと鼻を鳴らし、桜井昭...

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