第134章 どうか見逃してくれ

これは賭けだ。桐山涼に条件を呑ませるには、一体どんなチップを積めばいいのか。

桐山涼は弄んでいたダガーナイフを置くと、鼻で笑った。

「いいだろう。だがその前に教えろ。篠崎司はお前に何を吹き込んだ? あれほど頑なに、ここに残ると決意させるなんてな」

本来なら、桜井昭子は彼と共に帰国するはずだった。それなのに空港へ現れた篠崎司と言葉を交わした途端、彼女は憑き物が落ちたように残ることを選んだのだ。

桜井昭子は唇を引き結び、静かな瞳で彼を見据える。

「……私にとって、とても大切なことです。だから、私は残ります」

遠山圭吾は以前、何者かに命を狙われていると言っていた。彼が生きているという事実を桐...

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