第163章 諦めない

白川あかりの瞳に喜びの色が走った。彼女は声を弾ませる。

「そうよ。覚えていてくれたのね」

得意満面で篠崎司の手を握ろうと手を伸ばした瞬間、彼は露骨にそれを避けた。

向けられた冷徹な眼差しに、彼女は思わず怯んだ。

「あの頃、兄貴はまだ生きていた。それなのに、お前はすべて俺のためだと言ったな。よくそんな口がきけたもんだ。兄貴に顔向けできるのか?」

白川あかりは言葉を失った。数秒の沈黙の後、抑え込んでいた感情が一気に決壊したかのように絶叫した。

「世間体を気にしてあなたを拒んだこと、心底後悔してるわ! 最初から頷いていれば、今頃あなたは私と結婚していたはずよ! 桜井昭子なんかの入り込む隙な...

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