第169章 パリへ行く

美月はずっと前から、昭子の絵の才能に気づいていた。店内の装飾品の一部も、以前に昭子が描いた図案が元になっていたのだ。

彼女はそれらを探し出し、昭子を懐かしんで、わざわざ特注で復刻させていたのだ。

柳瀬は表情を引き締め、美月を一瞥すると、単刀直入に言い放った。

「荷物をまとめろ。パリへ行くぞ」

それを聞いて、昭子は呆気にとられた。

「勉強を始めたばかりじゃありませんか? どうしていきなりパリなんですか」

「見てないのか? 姉さんが手掛けた最初のプロジェクトはパリにある。お前の絵を見たが、設計図の段階は飛ばせるレベルだ。だから直接連れて行く」

言い捨てると、彼は昭子の返事も待たずに立...

ログインして続きを読む