第180章 節度がない

車が病院の車寄せに滑り込むやいなや、篠崎司は彼女の手を引いて急患受付へと急いだ。彼の姿を認めるなり、医師たちは皆、手元の作業を止めて一斉に駆け寄ってくる。

院長は篠崎司の腹部の傷を目にするなり、顔色を変えて叫んだ。

「誰か! すぐにオペ室の準備を!」

しかし、篠崎司は桜井昭子を自分の前に引き寄せ、冷徹な声で命じた。

「こいつの検査が先だ」

先ほど、自分は彼女を勢いよく突き飛ばしてしまった。怪我をしているかもしれない。四年前、洗面所で起きたあの一件が脳裏をよぎり、彼の心は底知れぬ恐怖に支配されていたのだ。

桜井昭子は、彼自身がひどい怪我を負っているにもかかわらず、頑なに自分の検査を優...

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