第182章 仲直り

司は何も言わず、ただ彼女を強く抱きしめた。

昭子はさっき自分が口にした言葉を思い返し、司がいったい何を拗ねているのか、すぐに合点がいった。

「司、私はただ、まだ母親になる心の準備ができていないって言いたかっただけで、子供が欲しくないわけじゃないわ」

その言葉を聞いた瞬間、司の体がびくりと強張った。彼は顔をさらに深く彼女に埋める。昭子がこうしてそばにいてくれる時間は、彼にとってまるで夢のようで、あまりにも美しすぎた。この幸せな時が突然消えてしまうのが怖く、何より昭子が他の誰かの元へ走ってしまうのが恐ろしかったのだ。

その焦燥感は常に彼の心にまとわりつき、たとえ昭子がそばにいても、拭いきれ...

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