第185章 彼には友達がいる

目の前に聳え立つ別荘を目にした瞬間、柳瀬楠人は唖然とし、表情を取り繕うことさえ忘れてしまった。

英国王室を彷彿とさせる、絢爛豪華な佇まい。至る所から溢れ出る気品とラグジュアリーな空気に圧倒され、柳瀬楠人は思わず我が身を見下ろした。途端に、自分の服装がひどく貧相なものに思えてくる。

屋内はさらに華麗で、柳瀬楠人はただただ感嘆の息を漏らすばかりだ。だが、数日前の自らの境遇を思い出した瞬間、心の中の天秤がガシャンと音を立てて傾いた。

「桜井さん。僕たちが盗難に遭ったあの日、僕がどこに泊まっていたか知ってますか?」

柳瀬楠人は必死に顔の筋肉を引きつらせないようにしながら尋ねた。

桜井昭子は正...

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