第19章 誤解していた

「昭子、来てくれたのね」江口美月はコーヒーを二杯買い、満面の笑みを浮かべていた。

「美月ちゃん」

江口美月と顔を合わせた瞬間、桜井昭子は先ほどの出来事をすべて忘れ去ることにした。他人のせいで自分の気分を害するなんて、あまりにも馬鹿らしいからだ。

「今日、私が何を作ってきたか見てよ」

江口美月が応えようとしたその時、桜井昭子のすぐ後から入ってきた人物に気づき、驚きの声を上げた。「奇遇ね、ここで会えるなんて。この間のことは本当にありがとう」

篠崎修斉は現行犯で押さえようと乗り込んできたものの、江口美月を目にした途端、完全に呆然としてしまった。

まさか、本当にここに友人がいたとは。

「...

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