第205章 来ない

司は、傍らにいる昭子の視線に気づいた。彼女は穴が開くほど、じっと自分を凝視している。

彼は視線を戻し、顔を上げてその澄んだ瞳と対峙したが、かけるべき言葉が見つからない。

自身を冷静に保ち、数秒間、色々と思案した。昭子がこのような行動に出たのは、間違いなく「九条蓮」を捕まえるためだろう。

彼は忘れかけていた。かつて自分がその身分を使い、彼女に無理強いをしたことを。

それに加えて、二人の間には今も誤解が横たわっている。もし今、真実を明かせば、昭子は彼をより一層嫌悪するに違いない。

思考を巡らせた後、司は薄い唇を動かし、眉をひそめて言い放った。

「お前ら、何の話だ」

その言葉を聞いて、...

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