第212章 あなたは誰だ

長い沈黙の後、司はようやく覚悟を決めたように、彼女の懐から顔を上げ、目の前の女を真剣な眼差しで見つめた。

「昭子。お前がそう決めたなら、俺はそれに従う。俺たちは少しの間、距離を置こう……」

昭子が頷く間もなく、司は言葉を続ける。

「だが、離れている間も、俺はお前のそばにいる。俺の想いを確かめさせ、お前自身の心の壁も乗り越えさせる。それでも俺たちが一緒になるべきじゃないとお前が思うなら、その時はもう二度と付きまとわない」

彼女は困ったような表情で何か言おうとしたが、司の決意が固いのを悟り、彼はそのまま立ち上がった。

「話は決まりだ。先に戻れ」

その言葉を聞き、昭子はソファーから立ち上...

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