第215章 彼の夢

電話の向こうで、柳瀬が苦笑いを漏らした。「無事で何よりだ。いいか、お前は俺に相当な借りができたんだぞ。これからしっかり返してもらうからな」

「え?」昭子は状況が飲み込めず、眉をひそめた。「一体何があったんですか?」

「なんでもない」

それを聞いて、昭子はそれ以上追求せず話題を変えた。「研究所のプロジェクトの入金があったら、先生にはたっぷり恩返しさせていただきますね」

柳瀬はようやく満足げな笑みを浮かべ、胸のつかえが取れたようだった。「よしよし、教え甲斐があったというもんだ」

彼は大きく息を吐き、背後の椅子に深く体を預けた。入り口では、鞄を手にした相田樹が彼を見つめている。

柳瀬は途...

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