第224章 別れのよう

司は皿の上で一口大に切り分けたステーキを彼女の目の前に置き、食べるようにと視線で促した。

男の細やかな気遣いに、昭子の胸の奥がじんわりと温かくなる。彼女は静かにフォークを動かし、料理を口へ運んだ。

潮の香りを孕んだ風が、彼女の髪を悪戯に乱していく。昭子が手櫛で整えようとしたその時、司がすっと背後に回り込み、優しい手つきでその髪を束ねてくれた。

「自分でできますから」

昭子は少し気まずそうに、自分の髪に触れた。

しかし彼は首を横に振り、真剣な眼差しで告げる。

「わかっている。だが、俺がしてやりたいんだ」

昭子はそれ以上何も言わなかった。食事が終わると、司は彼女を甲板へと連れ出し、自...

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