第23章 突発心筋梗塞

江口美月が振り返ると、篠崎修斉が二人のほうへ歩いてくるのが見えた。彼女は無意識に手を伸ばして桜井昭子を背後にかばい、篠崎修斉の挙動を警戒するように見つめる。

「何か用?」

篠崎修斉は彼女の、雛を守るようなその様子に、思わず低く笑った。彼は遊び人ではあるが、どの恋人とも円満に別れてきた。これほど女性に嫌われたのは初めてだ。

江口美月と桜井昭子の関係を誤解していたと気づいた時、メッセージで謝ろうとしたのだが、江口美月に即ブロックされてしまったのだ。

彼は口角を上げ、自ら誘いをかける。「食事でもどうかなと思って。その栄誉にあずかれるかな」

その言葉に、桜井昭子も思わず眉をひそめ、わけがわか...

ログインして続きを読む