第234章 彼女は動物を見に行った

司はそれ以上何も聞かなかった。ただ、彼女の生き生きとした表情を見て、つられるように口元を緩め、微かな笑みを浮かべる。

「よし、なら俺が送っていく」

昭子は首を横に振り、彼を近くの椅子に座らせた。

「だめです。今の司さんの一番の任務は、しっかり休むことなんですから。わかりましたね?」

司は彼女の顔に浮かぶ鮮やかな笑顔を見つめ、思わず頷いてしまう。

彼女と別れの言葉を交わし、昭子は病院を後にした。

視界から遠ざかっていくその華奢な背中を、司は名残惜しそうに見つめ、指にじわりと力を込める。

傍らにいた医師は、そんな司の様子を案じ、心の中で密かに溜息をついた。

昭子の姿が完全に見えなくなっ...

ログインして続きを読む