第271章 二度と離れない

運転手が慌ててブレーキを踏み込むと、司は素早く車を降りた。そうして、すぐそこにある頼りなげな人影へと駆け寄り、脱いだジャケットでその身体をすっぽりと包み込む。

「昭子」

 泣いたかと思えば笑い出し、明らかに精神の均衡を崩している昭子の姿に、司の瞳が激しく揺らぐ。彼はたまらず、彼女を地面から抱き上げた。

 懐かしい気配が全身を包み込む。だが、昭子は頑なに顔を上げて彼を見ようとはしなかった。これがすべて夢で終わってしまうのが怖かったのだ。しかし、彼の手のひらの温もりが肌に触れた瞬間、昭子はハッと我に返った。

 彼女は司の顔を見上げ、困惑と、そしてどこか悲哀を帯びた瞳を向ける。

 身体を小さ...

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