第278章 心の結び目を解く

涼はそう言い終えると表情を悲哀に染め、唇の端を吊り上げて昭子に笑いかけた。

「あいつと比べて、どっちが惨めだと思う?」

昭子は立ち尽くした。かつて涼は、姉が他の男とベッドにいる姿をその目で見てしまったのだ。だからこそ愛憎が生まれ、当時の愛が深かった分だけ、今は憎しみも深いのだろう。

骨の髄まで愛していたとしても、憎しみが邪魔をして、彼女の後を追うことすらできないでいる。

あの頃の涼が具体的に何を経験したのか、昭子には計り知れない。だが、今の彼が暗い陰りの中で生き、苦痛に喘いでいることだけは痛いほど分かった。

彼女にははっきりと感じ取れた。本当は涼も早くこの世を去り、姉の元へ逝きたがってい...

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