第285章 手に入らない幸せ

昭子の瞳が、みるみるうちに潤んでいく。彼女が振り返ると、背後にはずっと見守ってくれていた美月が立っていた。美月の目にも涙が浮かんでおり、心の底から昭子の幸せを喜んでいるのが伝わってくる。

ようやく、彼女に「家」ができたのだ。

天涯孤独の身だった昭子にとって、自分だけの家庭を持つことは生涯最大の悲願だった。その夢が、まさにこの瞬間、現実のものとなろうとしている。

美月には、昭子の胸中が痛いほどよく分かっていた。この夢を叶えるために、彼女がどれほどの苦難を乗り越えてきたか。司と共に幾多の試練を潜り抜け、ようやく二人は結ばれることになったのだ。美月はただひたすらに、昭子がこの先もずっと幸福であ...

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