第289章 補う必要はない

「もう、どうしていつもそんな怖い顔ばかりしてるんですか。みんな怖がって近寄れないんですよ。その悪い癖、ちゃんと直してくださいね?」

昭子はそう言って、彼の頬をつんつんと指でつついた。

「他人が寄ってくる必要はない」

司は彼女の唇の端に口づけを落とし、愛おしそうに目を細めた。

「俺には昭子がいればいい。一生、お前一人だけでいいんだ」

その深情けな告白に、昭子の胸が熱くなる。もう数え切れないほど聞いた言葉だが、何度言われても厭うことなどない。むしろ、彼の愛の囁きなら、何度だって繰り返し聞きたいとさえ思う。

不意に背中へと大きな手が滑り込み、昭子は思わず小さく声を漏らした。見上げれば、そこには...

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