第296章 相互利用

昭子は静かに首を横に振り、優しく彼を宥める。「平気ですよ。私は大丈夫ですから」

しかし、司の表情から憂いの色は消えない。彼はそっと彼女の頬を撫で、慈しむような声で囁く。「昭子、あいつが言ったことなんて、一言だって気にする必要はない。あとは俺に任せておけ。いいな」

彼の言葉は特効薬のように彼女の不安を溶かし、昭子は安堵の息をついた。彼が傍にいてくれさえすれば、どんな問題も恐れるに足りないと思えるのだ。

堅く寄っていた芳江の眉間もわずかに緩んだが、ソファーに腰を下ろすその姿には、どこか居心地の悪さが滲んでいた。

かつて幼い司が救いを求めた時、手を差し伸べなかった過去がなければ、これほど彼に...

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