第297章 私はあなただけが欲しい

篠崎家の大奥様が立ち去ると、昭子の表情はみるみるうちに暗く沈んでいった。彼女は自分を庇うように立つ司を見上げ、絶望に満ちた瞳を向ける。

「どうしましょう。私、本当に子供が産めないみたい……」

大奥様の言葉は、まるで毒針のように彼女の心臓に突き刺さり、いつまでも痛みを残していた。親族たちの反対よりも、彼女自身、子供を望めないという事実が何よりも辛かったのだ。

司は心苦しげに彼女を強く抱き寄せ、揺るぎない口調で言った。

「昭子。俺は子供なんていらない。俺が欲しいのは、お前だけだ」

彼にとって、最も失いたくない存在は昭子ただ一人だ。子供がいなくとも何の問題があるだろうか? 二人きりで生涯を...

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