第30章 人命がかかっている

「お捜しの方は、この男ですか?」

二人の従業員が、鼻も顔も腫れ上がった長谷川悠人を引きずって監視室に現れた。

桐山霖はモニターの映像と見比べ、頷いた。「そうだ。どこで見つけたんだ?」

従業員は頭を掻き、気まずそうに言った。「廊下の掃除をしていたら、どうやら誰かに殴られて気絶していたようでして。こちらで人を探していると聞き、連れてきてみました」

次の瞬間、桜井昭子は長谷川悠人の胸ぐらを掴むため一直線に駆け寄り、怒りを抑えた声で叫んだ。「美月ちゃんは! あの子に何をしたの? 美月ちゃんはどこ!」

彼女は必死に彼の襟を揺さぶり、江口美月の情報を吐かせようとしたが、長谷川悠人は完全に意識を失...

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