第310章 彼が先に裏切った

昭子は伏し目がちに、諦めが滲むようなため息交じりの声で言った。

「分かりました。その時は私から涼に頼んで、映像を見せてもらうことにします」

その言葉に、ジョージは虚を突かれたように動きを止めた。驚きを隠せない様子で顔を上げ、昭子を凝視する。

「昭子さん、あなたは……桐山を信頼しているようですね?」

指摘されなければ、昭子は自分が言葉の端々に涼への信頼を滲ませていることに気づきもしなかっただろう。問われて初めてその事実に思い至り、彼女は戦慄した。まさか、と己を疑う。

涼にあんな酷い仕打ちを受けたのだ。憎んでいて当然のはずではないか。それなのに、どうしてあんな男を信頼などできるのか。自分自身...

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