第359章 篠崎の奥様に感謝

遠山圭吾は自嘲気味に口元を歪め、苦い笑みを浮かべた。

「それじゃあ、ありがとうございます、篠崎の奥様」

その呼び方の変化は、二人の関係が決定的に変わったことの何よりの証左だった。もう二度と、あの頃と同じ関係には戻れないのだ。

遠のいていく背中を見つめる桜井昭子の瞳に、たちまち涙が溢れそうになる。彼女は掌をぐっと握りしめ、彼から背を向けた。

人混みの中、純白のタキシードを纏った男が現れた。まるで神が降臨したかのようなその姿に、一瞬、呼吸すら止まる。

冷ややかだが星空のように美しい瞳。ただ一目見ただけで、誰もがその深淵に惹き込まれてしまいそうだった。

彼の背後には、篠崎家の若い衆が続いて...

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