第365章 全く同じ贈り物

「篠崎さん?」

男は片眉を跳ね上げた。その呼び名がひどく不満らしい。

しかし、桜井昭子はそれに気づかず、小首を傾げて問いかける。

「どうしました?」

男は桜井昭子の顎に手を伸ばして指先で捉えると、面白がるように目を細めた。

「もう一度だけチャンスをやる。俺のことを何と呼ぶべきだ?」

二人はすでに夫婦となったのだ。当然、呼び方も『旦那様』や『あなた』と改めるべきなのだろう。だが、桜井昭子にはどうしてもその言葉が喉につかえて出てこない。頬が火のように熱くなる。

「昭子、いい子だ。『あなた』と呼んでみろ」

男の声には、まるで桜井昭子の理性を絡め取るような魔力が潜んでいた。

彼女は顔...

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