第384章 もう一人の子供

篠崎司が正々堂々と実力で勝利を収めたのであれば、まだ彼も納得がいっただろう。だが今回の結果は、断じて篠崎司の実力によるものではない。もし純粋な実力勝負だったならば、彼に往復ビンタを張られようとも甘んじて受け入れたはずだ。しかし、この状況では到底承服できるものではなかった。

桜井辰希はアクセルを回し、スタート地点のコースへとバイクを向けた。どうやら腹を括ったらしい。篠崎司ともう一度、決着をつけるつもりだ。

篠崎司もまた、ぴたりとその背後につける。桜井昭子にはわかっていた。彼は自分を心配しているからこそ、こうして追いかけてくるのだと。

だが、速度があまりにも速すぎる。事故を恐れた桜井昭子は、...

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