第410章 私を捨てないで

江口美月が現場に駆けつけたその時、視界に飛び込んできたのは、須田鶴雄が古川蘭を車から引きずり降ろす光景だった。蘭の顔色は幽霊のように蒼白で、まるで魂が抜け落ちたかのような虚ろな表情を浮かべている。

対照的に、須田鶴雄は口の端を吊り上げ、冷淡な声音で告げた。

「ランちゃん。もし今後、またあいつと籍を入れようとしたら、俺は何度でも来るからな」

その言葉は、まるで氷のように冷たい蛇となって、古川蘭の首筋に絡みついた。

結局、彼がここまで送ってきたのは優しさなどではなく、彼女と佐藤北斗の結婚を阻止するという目的を果たすための示威行為に過ぎなかったのだ。

彼女は掌に爪が食い込むほど拳を握りしめ...

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