第416章 ある程度の距離

江口美月がマンションの下に降り、車を出そうとしたその瞬間、助手席のドアが開き、篠崎修斉が強引に乗り込んできた。

「俺を家まで送れ」

「自分の車があるでしょう?」

彼女は呆れたように、横に停めてあるロールスロイスに視線をやった。

しかし篠崎修斉は悪びれる様子もなく、勝手にシートベルトを締めはじめる。

「今日は酒を飲んだんだ。運転して捕まったらどうする」

「ここまで運転してくるのを見たわよ」

「こっそりな。とにかく俺は知らん、お前が送れ」

まるで駄々っ子のようなその態度に、江口美月はこれ以上言い争う気力も失せ、無言で車を発進させた。

「江口美月」

彼は何度か名前を呼んだが、美月...

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