第433章 救い上げる

「どうした?」

 望月延は江口美月がなぜ動きを止めたのか理解できず、不安に駆られて彼女の手を握りしめ、そっと問いかけた。

 美月は首を横に振りながら、頭の中で全ての事象を繋ぎ合わせていた。

 具体的な因果関係までは分からない。だが、篠崎修斉が人を轢いて逃走し、その翌日に自ら崖下へ転落したという事実を思うと、得体の知れない怒りが込み上げてくる。

 感情を隠すのが苦手な美月を見て、望月は彼女の心情を即座に察した。自分のために怒ってくれているのだと勘違いし、胸を熱くする。

 だが次の瞬間、望月の顔から笑みが消え失せた。

「あの車、篠崎修斉のよ」

 抑揚のない、無理に押し殺したような声だっ...

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